CT/MRI/SPECT

超音波での診断が難しい場合に、精密検査の一環として用いられます。

検査値名 説明
単純CT

CTとは、Computed Tomography(コンピューター断層撮影)の略で、X線を使用して体の断面を撮影する検査です。超音波検査よりも広範囲かつ腹部全体や胸部なども併せて検査を行うことができます。肝がんや脂肪肝の度合などがわかることがあります。X線被ばくがあります。

腹部ダイナミックCT

造影剤を早い速度で静脈に注入し時間を追うことで、肝内の詳細な血流動態を評価し、肝癌などの質的評価を行うことができます。肝癌診療ガイドラインでは、肝癌の質的検査としての位置づけで、超音波検査では肝臓全体が描出されない際のスクリーニング検査としても用いられます。X線被ばくがあります。腎機能低下が目立つ場合には検査が不可となります。

PET-CT

PET-CTとはPETとCTの画像を同時に撮影する方法です。PETとは、Positron Emission Tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬剤を体内に投与して、特殊なカメラでとらえて画像化する方法です。頭から足まで撮影できるため、がん検診やがん転移の有無を診断する上で、非常に有用な検査です。
CTと一体型の検査装置であるPET-CTは、それぞれの融合された画像から、より見やすく精度の高い検査ができ、また別々で検査するよりも短縮した時間で検査ができます。基本的に痛みや不快感がなく、約30分程度で検査は終了します。転移性肝癌の検出には優れますが、肝細胞癌は多くは検出できません。

単純MRI

MRIはmagnetic resonance imaging(磁気共鳴画像)の略称です。非常に強い磁石を用いて体の断面を撮影する検査です。強い磁石を用いるため、体内にペースメーカー等の金属を埋め込んでいる方は検査できない場合があります。X線被ばくがありません。胆嚢、胆管、膵管などの検査目的のMRCPもあります。

EOB-MRI

肝臓の血管に造影剤を注入してMRIで撮影する検査です。EOBという造影剤は一部が肝細胞に取り込まれ、胆汁中に排泄されるという特徴があり、肝細胞癌の最も感度の高い検査法です。装置にもよりますが、1cm以下の肝癌の検出も可能です。X線被ばくがありません。腎機能低下が高度の場合には検査が不可となります。体内にペースメーカー等の金属を埋め込んでいる方は検査できない場合があります。

MRE
(MR elastography)

MRIと特殊な装置、ソフトを用いて肝臓の線維化(肝臓の硬さ)を測定することが出来る検査です。MREは、振動を発振する特殊な装置(アクティブドライバー)とお腹の上に振動を伝える特殊な装置(パッシブドライバー)を用いて、患者さんの肝臓に伝わる振動の伝わり方から肝臓の硬さを測ります。この検査は痛み無く、繰り返し検査出来る上、非常に良好な精度で線維化の度合を評価することが出来るため、有用な検査だと注目されています。

※基準値は、施設や機器メーカー、機種により異なります。

MR-PDFF

PDFFはmagnetic resonance imaging-proton density fat fractionの略称で、MRIを用いて行う検査の種類の一つです。多くの目的で使用できますが、肝臓の脂肪においては、水と脂肪におけるプロトンと呼ばれる分子を比較することで、非常に高い精度で測定することができます。

※基準値は、施設や機器メーカー、機種により異なります。

MRS

MRSはMangnetic Resonance Spectroscopyの略称で、MRIを用いて行う検査の種類の一つです。MRIによる発生した磁場の影響を受けた分子の情報から、多くのことを知ることができます。1H-MRSは肝臓内の脂肪の各分子においても非常に高い精度で測定することができます。

※基準値は、施設や機器メーカー、機種により異なります。

肝シンチグラフィ
(SPECT)

肝機能(肝細胞数や肝予備能)を診断する方法です。シンチグラフィとは体の中に放射性物質から放出される放射線を検出し、その分布を画像化したものです。放射性物質は肝細胞に集まりやすい性質を持っているので、肝細胞の様子を調べることができます。SPECT(single photon emission CT=シンチレーションカメラ)と呼ばれる特殊な機器を用います。

※基準値は検査機関によって多少異なることがあります。

監修:虎の門病院 肝臓内科 医長 斎藤聡先生