薬物性肝障害(DILI)

薬物性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)とは、医療機関で処方された医薬品や、ドラッグストアなどで購入できる医薬品、漢方薬、サプリメント、健康食品などの副作用が原因で起こる肝臓の炎症です。

症状

薬物性肝障害が起こると食欲不振、倦怠感、発熱、黄疸、発疹、吐き気、嘔吐、かゆみなどの急性肝障害のような症状が現れることがあります。また、特殊例として脂肪化や腫瘍を形成することがあり、脂肪肝や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症することもあります。

分類

薬物性肝障害は、発生する原因により「中毒性」と「特異体質性」に分類されます。

●中毒性

医薬品やサプリメント、または代謝産物(代謝されてできた物質)により肝臓が損傷を受けて炎症が起こります。中毒性の場合、その原因となる物質の量が多ければ多いほど、障害が強くなります。中毒性の肝障害は動物実験でも再現できるため、肝障害の発症をおおよそ予測できます。

●特異体質性

薬物性肝障害の多くが特異体質性になります。特異体質性の肝障害は、服用した医薬品やサプリメントなどの原因物質の量に関係なく、患者の体質に依存して起こる障害です。アレルギー反応や特殊な代謝経路から発症するため、動物実験でも再現が難しく発症の予測は困難です。

危険因子

年齢が18歳以上で肥満、妊娠、医薬品と飲酒の併用、遺伝子多型などが、薬物性肝障害の発症リスクを増大させるといわれています。

治療

多くは原因物質である医薬品やサプリメントを中止することで速やかに回復します。薬によっては中止することで危険を伴うことがあるため、医師の指示に従って治療を受けることが大切です。