[肝臓の主な病気]
病名一覧
アルコール関連肝疾患
現在の飲酒習慣が適切か、アルコール関連肝疾患や日常生活へ影響が出るような危険性を伴う飲酒習慣がないか、飲酒習慣スクリーニングテスト「AUDIT/AUDIT-C」でチェックしてみましょう!もっとも近い回答を選ぶだけで、飲酒習慣の重症度を判定することができます。
原因
アルコール関連肝疾患は、長期にわたるアルコールの過剰摂取により起こる肝障害です。お酒に含まれるアルコールは肝臓内で分解され無毒化されますが、お酒を大量に飲み続けると飲む量に比例して有害物質の分解が追いつかなくなり、肝臓は障害を受けます。
日頃から飲酒量の多い人は脂肪が十分に燃焼されないため肝臓に脂肪が蓄積し、アルコール関連肝疾患の第一歩として「脂肪肝」を発症します。さらにアルコールの摂取を続けていくと肝障害が進行し、肝臓の線維化が引き起こされ肝炎となります。最終的に肝硬変を発症したり、劇症化したりすることで死亡するケースもあります。
日本人におけるアルコール関連肝疾患において肝炎の患者は3万3千人と推計され(2011年厚生労働省調査)、約10~15%の人は肝硬変を発症します。アルコールを原因とする肝障害のため、禁酒をすることで約30%の方は肝臓が正常化すると言われています。
症状
疾患初期には、ほとんど症状はありません。疾患が進行すると発熱、黄疸、疲労などが現れ、深刻な場合は消化管の出血や脳機能低下などを引き起こすことがあります。他の肝疾患と比べて特異的な自覚症状や身体所見はありませんが、飲酒の量や頻度、期間が肝障害の重症度に関わってきます。そのため、飲酒習慣が適切かどうか「AUDIT(オーディット)」と呼ばれるアルコール関連問題のスクリーニングテストを用いて確認を行います。
治療
アルコール性肝障害の原因は飲酒であるため、最善の治療法は禁酒と食事療法です。アルコール摂取を抑えて肝臓を休ませ、肝臓にとってバランスの良い食事を採りながら治療を行います。場合によっては減酒薬などを用いて飲酒量をする薬物療法を行うこともあります。
さらに、アルコール依存症(近年ではアルコール使用症群とも呼ばれている)のような精神的な疾患が過剰飲酒の原因となっている場合、一時的に飲酒量を減らしたりする「減酒・節酒」や一定期間飲酒を禁止する「禁酒」ではなく、一切の飲酒を断つ「断酒」が求められます。断酒が唯一の治療法になりますが、アルコールには身体的、精神的な依存性があるため、自分の意思で断酒するのは難しいことが多いです。そのため、精神科の医師や専門機関との連携が必要となります。
アルコール性肝硬変を発症しても断酒に成功すれば、5年後の生存率が飲酒継続者の35%から88%まで改善すると言われており、諦めずに地道な努力を続けていくことが大切です。
飲酒習慣スクリーニングテスト:AUDIT・AUDIT-C
AUDIT(The Alcohol Use Disorders Identification Test)とは、世界中で使用されている問題飲酒の方を早期発見・早期介入することを目的に作成された「飲酒習慣スクリーニングテスト」です。WHO(世界保健機関)がスポンサーとなり、世界6か国(ノルウェー・オーストラリア・ケニア・ブリガリア・メキシコ・アメリカ)の調査研究結果に基づき作成されました。
最近では、AUDITよりも質問数が少なく手軽に利用できるスクリーニングテストとして「AUDIT-C」という手法も注目されています。AUIDT-Cとは、AUDITの中の飲酒量(Consumption)に関連した3つの項目だけを用いたテストです。AUDIT-Cの場合、日本人男性なら6点以上、女性なら4点以上が問題飲酒者(AUDITの重症度判定結果に当てはめた場合、8点に相当)として減酒指導を行う際の目安となります。
現在の飲酒習慣が適切か、アルコール関連肝疾患や日常生活へ影響が出るような危険性を伴う飲酒習慣がないか、この機会にAUDTI(AUDIT-C)でチェックしてみましょう!
もっとも近い回答を選ぶだけで、飲酒習慣の重症度を判定することができます。
※ 身近な人にお渡しできるよう無料の質問用紙も配布しています。