脂肪肝の方へ|フィブロスキャン検査と今日からすぐに実践できる方法のご紹介

脂肪肝

休肝日ってよく聞くけれど、ホントに効果はあるの?体重増加や脂肪肝が気になるときに食事制限ダイエットよりも手軽にはじめられる方法って何だろう。今回は、今日からすぐに実践できる休肝日や間食の見直し方、運動方法についてご紹介します。

アルコール摂取量全国47位・男性長寿全国1位でも生活習慣病由来の脂肪肝が増えている

当院は、アルコール摂取量全国最下位、男性長寿全国1位という健康県、滋賀県にあります。健康的な県民が多い滋賀県でも生活習慣病由来の脂肪肝の患者さんが増えており、肝臓疾患関連の様々な病気の予防や治療効果の評価にフィブロスキャン検査を活用しています。フィブロスキャン検査は痛みもなく簡単に検査が終了するため、口コミで当院に来院する患者さんが増えています。

侮れない!たかが脂肪肝から進展する病気とは

脂肪肝というとマイルドに聞こえますが、侮れない「病気」です。脂肪肝が進行すると、高血圧や高脂血症、肥満や糖尿病などといった生活習慣病に陥るだけでなく、胆のうがんやすい臓がん、大腸がんになる率が高くなります。また、気づかない間に肝臓の線維化が進行し、肝硬変や肝がんになることもあります。日本人は遺伝子的に脂肪肝になりやすい方が多いため、早期に発見し治療することが必要です。

当院では原則として1年間は薬剤を使用せず、まずは食事療法と運動療法を中心に治療を行っています。これからご紹介する週1回からはじめる休肝日や間食の見直し、30分程度のウォーキングなどを行っていただき、2か月ごとにフィブロスキャン検査で肝硬度とCAP値(脂肪量の度合い)の測定を行います。検査結果を数字やグラフで可視化することで、治療効果を実感していただいています。


※ フィブロスキャン検査結果シートのダウンロードはこちら

お酒をよく飲まれる方へ|週1回からはじめる休肝日のススメ

まず、日常的に飲酒をする方には「週に1回から休肝日」を作っていただき、2か月後にフィブロスキャン検査で肝硬度とCAP値を測定します。週に1回の休肝日でも2か月もすると目に見えて測定値が変化し、効果を実感していただくことが多いです。初めにお酒をやめましょうとお話するよりも、実際にやめたらどうなるかをご自分の目で見ていただいた方が良いですよね。

食事制限ダイエットではなく「間食の見直し」が大切な理由

食事制限ダイエットに失敗された方が多くいらっしゃるのですが、意外と見落としがちなのが間食です。当院では初回の診察ではあえて体重は聞かずに、間食に何を食べているのかを念入りに聞いています。患者さんのお話を伺うとナッツ類や乳製品、卵が入った食べ物などを間食している方が多く、間食をやめることについて重点的にお話しています。これらの間食をやめるだけでもCAP値の改善を実感していただく患者さんが多いです。

また、ストレスにならないよう2回目のフィブロスキャン検査が終わるまでは体重計には乗らないようお願いしています。CAP値が下がってきたことを実感してから他の食事内容を判断し、体重のお話をしているので、今のところ失敗例はゼロです。

複数回に分けてもOK!1日30分程度のウォーキングで脂肪肝の改善を

運動については、まずは「30分程度のウォーキングを週4日以上」続けていただくことをお伝えしています。運動習慣がない方や運動不足の方にとっては少々ハードルが高く感じるかもしれませんが、まとめて30分程度の時間を確保する必要はありません。朝・昼・夕と10分ずつ分けてウォーキングを行っても良いですし、通勤時の駅までの往復を利用するなど、自分の生活スタイルにあった形で取り入れ継続していくことが大切です。こちらも2か月間続けていただくことで、フィブロスキャン検査値の改善を実感することができます。

睡眠時無呼吸と脂肪肝の関係とは

新潟医師会*1からの報告にもありますが、睡眠中の経鼻的な持続陽圧呼吸療法(CPAP:continuous positive airway pressure)による肝脂肪の改善を経験しています。当院でもフィブロスキャン検査でCAP値を測定すると、睡眠時無呼吸の方は有意にCAP値が高いことがわかりました。そのため、CAP値が330dB/mを超える方に無呼吸の問診を行い、検査をおすすめしています。

CPAPの使用がおっくうだったり苦痛に感じたりしている患者さんもいらっしゃるのですが、① 副作用の弊害なく治療が導入できること、② 無呼吸の弊害としての睡眠障害の治療と肝障害の治療が同時にできること、③ 可能な限り投薬に依存しない方法であるということを患者さんにも理解・共感いただいている治療です。また、フィブロスキャン検査でCAP値や脂肪肝が改善していくことを実感していただくことで、治療継続のモチベーションに繋がっています。因果関係はまだ明らかになっていませんが問診時に参考にしています。

2022年4月から超音波減衰法検査としてフィブロスキャンによる脂肪肝の検査が保険適用となりました。脂肪肝の方だけでなく睡眠時無呼吸でお困りの方もフィブロスキャン検査ができる病院に一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。

 

*1:新潟医師会報2019, 廣野玄他

.
<コラム筆者>
平良 薫 先生
たいら内科・消化器内科クリニック 院長
.

 

[関連記事]