第4回:糖尿病になると肝臓が悪くなる?糖尿病と肝臓の密接な関係

糖尿病

第1回では、最近増えてきているあまりお酒を飲まない、あるいは痩せているのに脂肪肝という「非アルコール性脂肪肝」について、第2回では脂肪肝から肝硬変や肝がんに進行する「メタボ肝がん」、第3回では肝線維化の進行リスクを簡単に調べることができる「FIB-4 index」についてご紹介しました。最終回となる今回は「糖尿病と肝臓の関係について」ご紹介します。。

糖尿病になると肝臓が悪くなる?

糖尿病と肝疾患には密接な関係があるといわれています。日本人の糖尿病患者さん約45,000人に対して行われた2001年から2010年までの死因調査では、肝疾患関連の死因が9.3%(肝がん6.0%、肝硬変3.3%)と心臓疾患と肺炎に次ぐ第3位という結果になりました。

これは糖尿病患者さんの約10人に1人が肝疾患関連で亡くなっているということになります。また、米国の成人157万人に対しておこなわれた検討においても、肥満(体格指数BMI 5kg/㎡増加毎に男性で1.38倍、女性で1.25倍のリスク増)、ウエスト周囲高値(5㎝増加毎に1.08倍のリスク増)、2型糖尿病が独立した肝がんの危険因子であることが明らかになりました。

肥満や糖尿病に伴う「メタボ肝がん」

これまで肝がんの原因のほとんどが肝炎ウィルスやアルコールによるものでしたが、最近では肝炎ウィルスの感染がなく肥満や糖尿病、メタボリックシンドロームに伴う脂肪肝から肝硬変や肝がんへと進行する「メタボ肝がん」が増加傾向にあります。さらに世界中のさまざまな研究をまとめると、糖尿病患者さんは糖尿病のない人に比べて2倍ほど肝がんになりやすいリスクがあるとされています。メタボ肝がんを早期に発見し小さな肝がんであれば手術や治療を行うことができますが、ほとんど症状が出ないため気づかないうちに手の施しようがない状態になっていたというケースが多いです。ただし早期に発見し治療できれば予後が比較的良好であることが明らかになっていますので、日頃から肝臓の状態も確認することをおすすめします。

糖尿病患者さんが「メタボ肝がん」にならないために気を付けること

メタボ肝がんにならないためには、血糖値(ヘモグロビンA1c)を低下させることが大切です。まずは食事で摂取エネルギーを抑えることを心がけましょう。摂取エネルギーを減らし消費エネルギーを増やすには、清涼飲料水や野菜ジュース、果物や菓子類などに多く含まれる果糖を控え、食事時の咀嚼回数を増やすことです。また、適度な運動も推奨しており、1日40分ほど速足で歩行していただくことも有効です。筋肉量が低下している方には筋トレでも効果が期待できるため、日頃から適度な運動習慣を身に着けることが重要です。

食事と適度な運動も重要ですが、メタボ肝がんの予防にとって何よりも重要なのは定期検査です。メタボの方は年1回から2回は腹部超音波検査や、血液検査の肝機能値(AST・ALT)、血小板数の検査を行い、FIB-4 indexを確認することをおすすめします。FIB-4 indexの計算結果が1.3以上の場合、肝臓の線維化が進行し肝硬変に近い状態になっている可能性があるため、速やかに主治医と肝臓専門医にご相談することをおすすめします。

まとめ

糖尿病患者さんは糖尿病のない人に比べて2倍ほど肝がんになりやすいリスクがあり、糖尿病患者さんの約10人に1人が肝疾患関連で亡くなられています。肝疾患は病態がかなり進行するまで自覚症状が現れないため、早期発見と治療のためにも定期的にFIB-4 indexで肝疾患のリスクを評価し、メタボ肝がんを予防していきましょう。

 


健診結果を持っている方は、Fib-4 indexで肝臓の状態をチェックしてみよう!

 

 

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<コラム筆者>
角田 圭雄 先生
一般社団法人 日本医療戦略研究センター(J-SMARC)代表理事
愛知医科大学病院肝胆膵内科 准教授(特任)
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